身も心も癒されるお風呂にしたい!浴室リフォームは浴槽選びで差がつく

浴室リフォームのシステムバス選びで悩む人は多いもの。身も心も癒されるお風呂にしたいなら、浴槽の入り心地に注目しましょう。実際に入ってみるとその違いが分かります。今回は、数多くの水まわりリフォームを手掛けた一級建築士が、癒しのお風呂にするための浴槽選びのコツをご紹介しましょう。

CHAPTER

ニューノーマルでお風呂に変化

ニューノーマルをキッカケに、お風呂の時間をもっと快適にしたいと考える人が増えています。

女性のお風呂に関する調査(※)によると、過半数の人が「お風呂時間をより充実させたい」と回答、2割以上の人がより湯船につかるようになり、またお風呂に入っている平均時間が延びたという結果が出ました。

またコロナ禍を経て、入浴剤やヘアトリートメントの売り上げが大幅に増加する現象が起きるなど、今や浴室は身も心も癒してくれる、大切なリラグゼーションルームに。

これまでの浴室リフォームでは、主に掃除のしやすさやデザインを中心に考える人が多かったのですが、これからはのんびりとくつろぐことができるか、リラックスしてお湯に浸かれるかといったことを、もっとよく検討することが大切な時代になっているのです。


※女性のお風呂に関する意識調査/ヤーマン株式会社調べ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000146.000019071.html

実際に浴槽に入ると違いが分かる

ショールームで実際に浴槽に身体を入れてみると、入り心地の違いに驚くはず(TOTOショールーム)https://jp.toto.com

お風呂タイムの快適度を大きく左右するのが浴槽のデザインです。

筆者のところによく寄せられる悩みのひとつに、どのシステムバスも、掃除がしやすく、浴室換気乾燥機の設置ができ、洗濯物が干せるなど、同じように見えて選ぶのが難しいというものがあります。

そんな時にぜひチェックしたいのが浴槽の入り心地。似たように見えても、ちょっとしたデザインの違いでリラックス度が大きく変わり、体形や入る時の体勢によっても心地よく感じる浴槽が異なります。

実際にショールームで浴槽に身体を入れてみると、きっとその違いに驚くはず。筆者もこれまでたくさんの浴槽に入ってきましたが、身体にフィットする浴槽に出合うと、その心地よさに思わず感動してしまうほどです。

身も心も癒される、本当に快適なお風呂にしたいなら、ぜひ浴槽の入り心地に注目してみましょう。

1人で入るならフィット感を重視

頭と首にフィットするヘッドレストが付いた、リラックスチェアに座るようなスタイルでのんびりとお湯に浸かれる浴槽もあります(ファーストクラス浴槽/TOTO)
ファーストクラス浴槽は4点指示で身体安定させつつ、優しく包み込む設計になっています。

浴槽選びは、お風呂の入り方によって異なります。まずは1人でのんびりと浴槽に浸かりたい場合からご紹介しましょう。

1人で浴槽に入る場合は、身体へのフィット感を重視して選ぶと快適度が上がります。浴槽が大き過ぎると身体が泳いでしまうため無理な力が入り、リラックスしにくくなります。逆に小さ過ぎると窮屈に感じます。

リラックスした時間を過ごすための浴槽選びのポイントは、緩やかなカーブで身体をしっかり支えてくれて、包み込むような安定感があること。リラックスチェアに座った時のように、身体を預けて自然な体勢が取れるかを確認しましょう。

特に重要なのが、首、肩、ひじや手、足の裏の位置です。頭と首がしっかりサポートされているとリラックス度が高まり、足の裏が浴槽の反対側に軽くフィットしていると、お湯の中で身体が安定しやすくなります。またアーム付きチェアのように手やひじを乗せる場所があると更に快適度はアップ。

身体に気持ちよくフィットした浴槽なら、身も心も癒され、ストレスも洗い流してくれる快適なお風呂時間を過ごせることでしょう。

親子・夫婦で入るなら幅にゆとり

幅が広いワイドタイプの浴槽は、親子で夫婦でなど複数でお風呂に入りやすいデザインです(ワイド浴槽/TOTO)
ワイド浴槽は洗い場側にカーブを描いて張り出したようなデザインです。

親子や夫婦で一緒にお風呂に入るなら、幅広タイプの浴槽を選んでおくと快適です。

こちらはワイド浴槽です。洗い場に向かって大きくカーブをしている幅広の浴槽で、小さな子どもと一緒に入る時は、大人はリラックスしたスタイルで、子どもたちは浴槽内のベンチに座って入ることができます。

大人が2人で浴槽に浸かる場合も、できるだけ内法の幅が広い浴槽や、ワイド浴槽を選びましょう。大人2人の時は向かい合わせで入ることが多いと思いますが、通常サイズの浴槽では腰まわりがぶつかって窮屈に感じることがあります。

幅広タイプの浴槽なら、腰やひじのまわりにゆとりが生まれます。2人でゆったりと浸かることができれば、会話も弾み、良好なコミュニケーションがとれるようになるでしょう。

ただしワイド浴槽は基本的に洗い場に張り出すデザインのため、その分洗い場面積が小さくなります。限られた面積の浴室の場合、どちらを優先するかをよく考えて計画を立てましょう。

半身浴を楽しむならベンチ付き

浴槽内にベンチが付いているタイプなら手軽に半身浴が楽しめるようになります(アライズ/LIXIL)https://www.lixil.co.jp

半身浴を楽しみたいなら、ベンチ付きの浴槽が向いています。半身浴は、足の冷えやむくみの改善、ストレスの解消、疲労回復、また毛穴の汚れを排出し美肌にも効果があるといわれています。

一般的な浴槽で半身浴を楽しもうとすると、湯量設定を変更してお湯を減らすか、浴槽の中に椅子を持ち込む必要がありますが、ベンチ付き浴槽なら特別な準備も要らずそのまま座っていつでも手軽に半身浴が楽しめます。

肩までお湯に浸かりたい場合は、ベンチは足乗せ台にして。またベンチ付きは浴槽内の容積が少なくなるので、その分節水にもなる隠れメリットもあります。

動画視聴や読書がしやすい浴槽

テーブルとして、足湯を楽しむベンチとしてなどさまざまな楽しみが広がるマルチボード浴槽(LIXIL)

ただお湯に浸かっているだけでは、何となく退屈だったり、時間がもったいないと感じたりすることもあります。そんな時はお湯に浸かりながら、さまざまなことが楽しめる浴槽はいかがでしょう。

こちらは、浴槽内にベンチにもなるステップが付いていて、縁にフタ兼用のマルチボードがセットできるようになった浴槽です。

ベンチに座って半身浴をしながらマルチボードをテーブルにして動画視聴や読書をしたり、アイスクリームを食べたり。ボードの上に座って足湯を楽しむこともできます。

今夜はお風呂に入りながら何をしようかと考えるのも楽しいもの。毎日のお風呂の時間が一層充実することでしょう。

旅気分が味わえる肩湯や気泡浴槽

温かい肩湯を楽しめる浴槽。毎日リゾート気分が味わえます(スパージュ/LIXIL)

ニューノーマルをキッカケに盛り上がっているのが「おうちレジャー」です。家に居ながらもっと楽しく暮らしたい、そんな願いをかなえてくれる旅行気分を味わえる浴槽もあります。

たとえば、肩湯が出たり、ジョット水流が噴き出して全身をマッサージしてくれたり。小さな気泡を含んだ柔らかいお湯で身体を温めてくれる機能も持つ浴槽もあります。

このような遊び心満載の、快適性を向上させてくれる製品は、オプションで選ぶことができ、その分費用が掛かりますが、お風呂は毎日入るもの。こだわって選べば暮らしのお楽しみ度が格段に上がることでしょう。

空気を含むミクロの泡で白く柔らかいお湯が出る浴槽。お肌のうるおいが長続きするという実験結果も。入浴剤を使用しないので意外と経済的で薬品などが肌に合わないなどの心配もありません(酸素美泡湯/パナソニック)https://panasonic.co.jp/phs/

浴槽の出入りのしやすさもチェック

縁に手をかけて掴みやすいようになっている浴槽もあります(ゆるリラ浴槽/TOTO)
浴槽断面形状。筆者の自宅の浴槽がこのタイプなのですが、これが意外と便利です。

浴槽選びで注意をしたいのが、出入りのしやすさです。リラックスした体勢になるほど、立ち上がる時に手を掛ける必要があるため、グリップや手すりの取り付け位置やデザインが重要になります。

浴槽内のグリップは体勢を整えたり、立ち座りをしたりする時に掴むものです。お湯に浸かっている間に邪魔にならない位置にあるか、手で掴みやすい位置とデザインになっているかなど、ショールームで実際に浴槽に身体を入れて確認をしましょう。

ワイド浴槽の場合、洗い場に出るためには手前のベンチをまたぐ必要があります。出入りの際に邪魔に感じる人もいますので、ショールームで実際に出入りをして確認をしましょう。

またどの浴槽の場合も、縁をまたいで出入りする時のことを考え、壁面に手すりを取り付けておくと安全性が高まります。


ニューノーマルな暮らしは、浴室をより豊かな空間へと進化させました。浴室リフォームでシステムバス選びに迷ったら、ショールームに行って浴槽に身体を入れて確かめてみてください。リラックスできるくつろぎの浴槽選びで、身も心も癒されるお風呂を目指しましょう。

PROFILE

Yuu(本名:尾間紫)
Yuu(Oma Yukari)
一級建築士事務所 OfficeYuu代表。一級建築士・インテリアコーディネーターとして、数多くの住宅リフォームの設計、工事を手掛けてきた経験から、本当に価値あるリフォーム情報をお届けします。

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