今だから欲しい!節湯&清潔、出しっ放しにならないホテルライクな洗面リフォーム

洗面所の悩みといえば収納不足と、あふれ出る生活感。ニューノーマルで更に洗面所の役割が増え、必要な設備にも変化が生まれています。今回は、暮らしの中でますます重要なスペースとなった洗面所をもっと便利に快適にする!今こそ付けておきたい設備やリフォームのポイント、生活感を排除してホテルライクに演出するコツもご紹介しましょう。

増えた洗面所での行動

水まわりでの行動変化。洗面所に関することが一番多くなっています。
TOTOによるコロナ禍における生活意識と行動に関する実態調査(https://jp.toto.com/company/press/research/2020_12_07_010970/)より、うちもメディアでグラフを再構成しています。
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洗面所は限られた面積の中で、「洗面」、「脱衣」、「洗濯」など家族全員がさまざまな目的で使う、毎日の暮らしを支える大事な場所。だからこそ、収納不足に陥りやすく、生活感が出やすいといった悩みが多い場所でもあります。


そんな悩み多き洗面所が、コロナ禍をきっかけに更に使用頻度が上がり、また新たな役割が生まれています。水まわりに関する調査(※)によると、コロナ禍をきっかけに洗面所での行動が増えた人が多く、また約4人に1人が洗面所リフォームへの興味が高まっていることが分かりました。


洗面所は小さなスペースにもかかわらず暮らしに与える影響がとても大きいため、小さなプランの差で家事の手間や快適度が大きく変わります。ここがちょっと変わればもっと便利になるのに!そんな風に考える人が増えているのですね。


これまで以上にやることが増えた洗面所をより便利に快適にするためには、リフォームの際にも工夫が必要です。最新情報や今だからこその売れ筋商品をチェックして、更に便利で快適な空間を目指しましょう。


※コロナ禍における生活意識と行動に関する実態調査/TOTO https://jp.toto.com/company/press/research/2020_12_07_010970/

考えておきたい新たな役割

ニューノーマルで増えた洗面所の新たな役割といえば、「手洗い」です。コロナ禍前までは、今ほどは手洗いをしてなかったという人も多いのでは?先述の調査でも、コロナ禍をきっかけに変化した水まわりでの行動の1位~3位までが、手洗いに関することで占められています。


外出から帰ったら、まず手を洗って汚れや雑菌、ウイルスなどを落としてから家の中のモノに触れるという生活ルーティンは、今や暮らしの中にしっかりと根付いています。

つまり、洗面所は家の中の清潔を守る関所のような場所。

これまでの「洗面」、「脱衣」、「洗濯」といった役割に加えて、清潔に暮らすための「衛生管理」がしやすいようにしておくことが、これからの暮らしには欠かせなくなっているのです。

人気急上昇の取り入れたい設備

自動水栓と「きれい除菌水」付きの洗面化粧台オクターブ。自動と手動はワンタッチで切替可能。ボタンを押すと除菌水が出て、「自動きれい除菌水」なら水栓使用の10分後/8時間後に排水口に自動で吹きかけます(TOTO)
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洗面所に新しい役割が生まれたことで、新築やリフォームで人気の設備にも変化が生まれています。先ほどのTOTOの調査によると、水まわりで欲しい設備の上位を占めているのが「自動」、「除菌」、「節水」に関するもの。


中でも圧倒的な1位となったのが、自動で水の出し止めができる自動水栓です。これまでキッチンではお馴染みでしたが、コロナ禍をきっかけに洗面所でも取り入れる人が急上昇。ハンドルに手を触れずに手洗いができれば、より衛生的に暮らせます。


洗面所で欲しい設備の2位には、除菌水が出る水栓がランクイン。洗面所には、歯ブラシやコップ、排水口など、雑菌が繁殖しやすいところがたくさんあります。虫歯の原因となるミュータンス菌をはじめ、コップや排水口まわりなどにつくピンク汚れ、ぬめりも雑菌が原因です。


洗面所リフォームの際には、こういった新しい設備もしっかりチェック!「衛生管理」のための設備を取り入れることで、暮らしの安心度が格段にアップします。


「きれい除菌水」が出る洗面化粧台オクターブ。いつでもすぐに除菌水が出せれれば、気軽に除菌ができるようになります(TOTO)
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光熱費の高騰で洗面所でも節湯

水とお湯の使い分けがしやすいエコシングル水栓。チリも積もれば山となる。毎日何回も使う場所だからこその工夫です(TOTO)
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洗面所リフォームの際に取り入れたいもうひとつの設備は、「節湯」に関するものです。ニューノーマルで在宅時間が延び、光熱費が増えた家が多かったのは記憶に新しいことでしょう。加えて昨今の光熱費の高騰で、設備の省エネ性能が家計に与える影響はますます大きくなっています。


この光熱費の削減に役立ってくれるのが「節湯」機能がある設備です。実は、家庭で消費されるエネルギーの中で一番大きな割合を占めているのが、お湯を沸かすためのもの。洗面所でお湯を使う機会は多く、手洗いの回数が増えた今、洗面所で使う設備の省エネ性能もしっかりと確認しておくことが大切です。


例えば、こちらの写真は水とお湯が出る境目にクリック感があるエコ水栓です。歯ブラシの先をちょっと濡らす時にお湯を出せば、その都度給湯器が動いてエネルギーを消費します。水ならムダなエネルギーを使わずに済みますが、ハンドルの位置でどこからお湯でどこから水なのかが分かりにくいことも。


水とお湯が出る境目にクリック感がある水栓なら、水とお湯の使い分けがしやすくなり、従来のシングル混合水栓と比べてお湯の使用量を1割近くカット(※)できるというデータもあります。(TOTO株式会社による試算)


今後、さらに光熱費が高騰すれば、こういった設備選びの差が光熱費に大きく影響してきます。これまで洗面所の省エネはあまり注目されていませんでしたが、しっかり選んで先々のランニングコストを削減しましょう。


浴室のシャワーでは既におなじみ。手元のタッチでこまめに水の出し止めができるタッチスイッチ・ホース付タイプの水栓(TOTO)
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間取りプランも以前とは変化

玄関手洗いも登場。ハピア玄関収納(大建工業)と 洗面器LS721C(TOTO)の組み合わせ。
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洗面所の役割が増えたことで、最新の家づくりでは間取りプランも以前とは変化をしています。


ニューノーマルで生まれた新しい用語のひとつに「手洗い動線」があります。手洗い動線とは、玄関から手洗い場まで歩くルートのこと。家の中に汚れや雑菌、ウイルスを持ち込まない「衛生管理」の面から考えれば、途中どこにも触れずに手洗い場に直行できるのが理想です。


これまでの洗面所は、「洗面」、「脱衣」、「洗濯」がしやすいよう、寝室と近い位置であること、浴室の隣りにあること、キッチンや干し場と連携しやすいことなどを主眼にして計画されていました。そのため玄関から遠い、家の奥にあることも少なくありませんでした。


しかし最新の分譲や注文住宅を見ると、帰宅したら洗面所で「手洗い」をしてから家の奥へ入る間取りが増えています。


洗面所リフォームの際には、この「手洗い動線」を改めて見直してみると、より使い勝手がよくなります。ドアの向きを少し変えるだけで、動線が改善できることもあります。大掛かりな間取り変更が難しい場合は、玄関の近くにセカンド手洗いを設ける手も。


手洗いの習慣は暮らしの中で既に定着し、この先も多くの人が継続するとみられています。帰宅したらすぐに手が洗える家にしておけば、適切な衛生管理ができるようになり、毎日を安心して暮らせるようになるでしょう。

ユーティリティ化でさらに家事ラク

スクエア形状で容量が大きな陶器のボウルがついたサクア洗面化粧台。洗濯物の手洗いやバケツも使いやすくなっています(TOTO)
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洗面所に洗濯機があればそこは家事室です。実はコロナ禍をきっかけに、ロボット掃除機や自動調理家電、そして全自動ドラム式洗濯機の売り上げが急上昇。ニューノーマルな暮らしで家事の手間が増え、できるだけ家事をラクにしたいと考える人が増えているのですね。


洗剤メーカーのライオンの調査(※)によると、新しい生活様式で家庭での洗濯物の量と洗濯の頻度が増加。掃除や炊事だけでなく、洗濯の手間も増えていることが分かりました。


洗濯が増えた理由には、抗菌除菌に対する不安、おしゃれ着が減って普段着が増えたことなどがあります。中には、帰宅したらすぐに洗濯をしたいと考える人もいることでしょう。


この洗濯をぐんとラクにしてくれるのが、洗面所のユーティリティ化です。ユーティリティとは、洗濯機を中心に、たたみやアイロン掛けなどができる作業カウンターや部屋干しハンガーなどを設置し、家事をまとめてこなせるようにした部屋のこと。無駄な動きが減るので家事効率が格段にアップします。


ユーティリティは洗面所と分け独立させて作る、洗面所の面積を広げて一体化して作るなどの方法があります。上手に作るコツは、「洗濯物の仕分け~洗濯機への出し入れ~乾燥もしくは干し~たたみ~しまう」がスムーズにできるようにしておくこと。洗濯機のそばに小さなカウンターを取り付けるだけでも、畳んだりアイロン掛けをしたりなどの作業がラクにできるようになります。


加えて、キッチンと行き来がしやすいようになっていれば、洗濯と炊事を連携してこなすことができるように。洗面所リフォームの際には間取りも見直してみると、毎日の家事の手間を減らすことができ、暮らしにゆとりが生み出せます。


※)ライフスタイルと洗濯洗剤に関する調査/ライオン

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000079896.html

どうせならホテルライクな空間を目指す

セミオーダーで理想的な洗面空間を作ることができる「エスクア」。ホテルライクな空間づくりにぴったりの高級感があります(TOTO)
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洗面所にいる時間が長くなり、更に重要なスペースとなった今、どうせリフォームするなら、そこで過ごす時間が楽しみになるようなおしゃれな空間づくりをしましょう。


例えば、最新の新築住宅やマンションのモデルルームをお手本に、ホテルライクな洗面空間を目指してみるのはいかがでしょう。モデルルームの洗面所は生活感を排除し、まるでホテルのパウダールームのような美しさと高級感があります。


トレンドは、洗面化粧台のカウンターは石目調もしくは白色で、スクエアデザインの白い大型ボウルをセット。木目やダークトーンの扉と組み合わせて、洗面台というよりドレッサーのようなイメージで作りこまれています。


生活感が出やすい洗濯機は、洗面化粧台とL字型にレイアウトしたり、小さな壁で空間を分けたりなどの工夫でさりげなく視線をそらし、ラグジュアリーな雰囲気を損ねないようにしています。他にもロールスクリーンを使って目隠しをする方法や、最近増えているデザイン性の高い洗濯機をあえて見せるのもいいですね。


ホテルライクなイメージにするには小物使いもポイントです。リネン類はワンカラーに統一し、小物類は樹脂製ではなく高級感があるガラスや陶器、真鍮製品などを選びましょう。洗面所は狭いからこそ、ひとつひとつのアイテムに妥協しないのが空間の完成度を上げるポイントです。


また洗面所は機能性重視のためどうしても無機質な雰囲気になりやすいもの。ナチュラルな癒しを感じさせてくれるインテリアグリーンをレイアウトするのも、モデルルームのコーディネートの定番です。


日用品の散らかりに関しては、最近の洗面化粧台は収納が充実しているため、洗面台を交換リフォームするだけでも、すっきりと片付けがしやすくなります。ただしカタログだけでは実際にどれくらいの量が入るか掴みにくいものです。ショールームで実物を見ながら確認をしましょう。


他にもブラケット照明のデザインにこだわったり、壁面に本物のモザイクタイルを張ったり。高級感のある設えにすることで、洗面所にいる時間がまるでホテルで過ごしているような豊かで心地よいひと時に変わります。

洗面所のおしゃれ度アップアイテム

洗面所を快適にしつつおしゃれ度をぐんとアップするタオルウォーマーTSNR060(リラインス)
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空間をおしゃれに演出しつつ、快適な環境を作ってくれるアイテムもあります。こちらは洗面所の壁面に取り付けるタオルウォーマー。タオルウォーマーとは、タオルを掛けておくと、からっと乾かしながらふわふわに温めてくれるもので、北欧ではおなじみの製品です。


タオルウォーマーを洗面所の壁に取り付ければ、まるで海外のパウダールームのような雰囲気に。寒い冬は優しい暖かさを感じる暖房にもなるなど、洗面所を快適にしてくれる効果もあります。

洗面所で散らかる意外なモノ

収納場所に困る熱いヘアーアイロンをそのまま引き出しの中にしまえるワイヤーラック※がついたウツクシーズ洗面化粧台(パナソニック)※オプション
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使用後、余熱のあるヘアーアイロンを収納しながら冷ます事ができるのでいつもスッキリ整います。ウツクシーズ洗面化粧台のワイヤーラック(パナソニック)
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注意したいのが、洗面所では意外なものが散らかりやすく、それがキッカケで片付けがしにくくなったり、生活感が出たりしてしまうこと。


例えば、石鹸入れ、ハンドソープのボトル、ティッシュ、体重計などは洗面所では必須のアイテムでありながら、出し放しになることが多いものです。他にも濡れたコップや、使った後の熱いヘアーアイロンなども、リフォームの計画の段階で居場所をきちんと定めておきましょう。それらの品々を片付けるための収納スペースがついた洗面化粧台もあります。


これまで以上に暮らしに大きな影響を与えるようになった洗面所。今の時代だからこそのリフォームの工夫で、更に便利で快適な空間を目指しましょう。

PROFILE

Yuu(本名:尾間紫)
Yuu(Oma Yukari)
一級建築士事務所 OfficeYuu代表。一級建築士・インテリアコーディネーターとして、数多くの住宅リフォームの設計、工事を手掛けてきた経験から、本当に価値あるリフォーム情報をお届けします。

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