光熱費が安く快適な家が当たり前の時代に!やっておきたい省エネリフォーム

一戸建ては冬に寒く光熱費がかさむのが当たり前、そんな風に思っている人も多いのでは?でもそれはひと昔前の話。最新の省エネ性能の家なら冬に暖かく、光熱費も安く済みます。リフォームでも家の省エネ化をすれば、光熱費を抑えながら暮らしは断然快適に。
しかもこの先は一定の省エネ性能を持つ家しか建てられない時代がやってきます。省エネ性能がもたらす意外なメリットや、中でも大切な断熱性能の向上リフォームについてご紹介しましょう。
8割が寒い!スリッパと暖房で対策

https://newsroom.lixil.com/ja/20221115_01
家の中の暑さ寒さなどの快適性や家計を大きく左右するのは、家の「省エネ性能」です。最新の高性能一戸建て住宅は、冬暖かく夏涼しくとても快適。当然、光熱費も安く済むので、昨今の物価高騰のおりでも安心して暮らすことができます。
しかし築年数が古い家や、省エネ性能が低い家はそうはいきません。多くの人が家の中が寒いと感じていて、LIXILのアンケート(※1)によると、家で冬(主に11月~2月)に「寒いと感じる」、または「一部の部屋では寒く感じる」など、寒さを感じている人が約8割もいることが分かりました。

そしてその対策として行っているのが、1位がスリッパをはく、2位が暖房の2台つかい、3位がひざ掛けを使うでした。
つまり多くの人が家の中の寒さに悩んでいて、特に足元が冷えやすく、暖房費がかさんでいる状況にあることが分かります。
光熱費の値上がりが続く時代、部屋を暖めようと暖房をどんどん強くしてしまえば更に出費がかさみます。だからといって寒さを我慢する暮らしは健康に悪影響を与えてしまう可能性があります。
※1)LIXIL「住まいの断熱と健康に関する調査」より
https://newsroom.lixil.com/ja/20221115_01
室温18度以下の家は健康に悪影響

こちらは冬に寒い家に住んでいると健康に悪影響を及ぼすという国交省の報道発表資料(※2)です。
1.室温が年間を通じて安定している住宅では、居住者の血圧の季節差が顕著に小さい。
2.居住者の血圧は、部屋間の温度差が大きく、床近傍の室温が低い住宅で有意に高い。
3.断熱改修後に、居住者の起床時の最高血圧が有意に低下。
4.室温が低い家では、コレステロール値が基準範囲を超える人、心電図の異常所見がある人が有意に多い。
5.就寝前の室温が低い住宅ほど、過活動膀胱症状を有する人が有意に多い。断熱改修後に就寝前居間室温が上昇した住宅では、過活動膀胱症状が有意に緩和。
6.床近傍の室温が低い住宅では、様々な疾病・症状を有する人が有意に多い。
7.断熱改修に伴う室温上昇によって暖房習慣が変化した住宅では、住宅内身体活動時間が有意に増加。
つまり冬に室温が低く、家の中に温度差がある家に住んでいると、血圧やコレステロール値、心電図などによくない傾向があるということ。
5番の過活動膀胱症状とはいわゆる頻尿です。夜中にトイレに行きたくなってしまうのも、眠る前の寝室の室温が関係していることが分かります。
ちなみにこちらの調査の「室温が低い」とは、真冬の最低室温が18度以下を指しています。この最低室温18度というボーダーラインは、健康的な暮らしを送るための大切なキーワード。
WHO世界保健機関でも2018年の「住宅と健康ガイドライン」の中で、人が健康に暮らすためには冬の最低室温を18℃以上に保つ必要があり、寒い季節がある地域では新築や改修をするようにと勧告しています。
日本ではこれまで、寒い浴室でいきなり熱いお湯に入るのは健康に悪影響を与えるということで、浴室や脱衣室を暖かく保つ重要性は意識されてきました。しかしより健康に暮らすためにはそれだけではなく、冬でも室内を18度以上に保ちつつ、温度差が小さい家にしておくことが大切になるのです。
※2)国交省報道発表資料「断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(第3回)(一社)日本サステナブル建築協会」より抜粋
わが家の断熱性能は低い?

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もし今住んでいる家で、暖房しているのに寒さを感じているなら、家の省エネ性能が不足している可能性があります。
省エネ性能とは、
・屋根や外壁、窓などの熱の出入りを測る、断熱性能を中心とした「外皮性能」
・家の中で使う設備が消費するエネルギー量を測る「一次エネルギー消費量」
で評価されます。
寒さと大きく関係するのは「外皮性能」です。中でも大切なのが断熱性能で、これは簡単にいえばポットの保温力のようなもの。しっかり断熱材を入れた断熱性能が高い家は、屋外の寒さの影響を受けにくいので、小さなエネルギーで家の中を暖かく保ってくれます。
断熱性能が低い家の特徴をご紹介しますので、わが家に当てはまるものはないかチェックしてみましょう。
・築年数のチェック
1999年(平成11年)に次世代省エネ基準というものさしができました。その基準を満たしていればおおよそ最低ライン。ただし基準に沿うことは義務ではないので、新しくても満たしていない場合があります。
・暖房しても寒い
断熱性能が高い家は少し暖房を付ければ暖かくなります。暖房しているのに寒さを感じる家は外気温の影響を受けやすい家、断熱性能が低い可能性があります。
・暖房費がかさむ
断熱性能が低い家は、外から冷気が浸入しやすいため、いくら暖房しても寒いまま。暖房をどんどん強くすることになるので暖房費がかさみます。
・室内に温度差がある
室内の温度差とはエアコンをつけると顔ばかりほてって足元が冷えるといった状況です。これは家の断熱性能が低いことが大きな原因になっています。
・部屋ごとに温度差がある
部屋ごとの温度差とは暖房しているリビングは暖かいのにトイレや脱衣室、お風呂が寒いといった状況です。これも家の断熱性能がひくいことが原因となっています。
・結露がひどい
窓や壁にひどい結露がある場合も、断熱性能の低さが原因です。結露をしやすい場所に近づくと冷気を感じるはずです。

断熱性能が低い家は、冬に屋外とほとんど変わらないほどまで室温が下がります。だからいくら暖房をしても寒いまま。光熱費がどんどんかさんでしまいます。
断熱性能が高い家では、このような悩みが起きることはほとんどありません。リフォームで性能向上をした家も同様に快適です。

※太陽光発電による売電は含みません。
※各数値はシミュレーション用に試算したもので、実際の光熱費を保証するものではありません。
断熱リフォームのポイント

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それでは家の断熱性能を向上させるリフォームのポイントをご紹介しましょう。
家の断熱の最大の弱点は窓です。これは一戸建てもマンションも同じです。家の中の熱の多くが窓から流出しています。
足元が寒いのも、暖房で暖められた空気が冷たい窓ガラスにぶつかって冷気となり、下方に流れて足元に広がるからです。これを「コールドドラフト現象」といい、窓の断熱性能向上リフォームをするだけでも、こういった状況が改善できます。
大事なことは窓を冷やさないこと。手軽なのは断熱性に優れたスクリーンの取り付けです。下の写真は断面が蜂の巣状になったハニカムシェード。内部に空気層を持ち高い断熱性能を発揮します。その効果は高く、ハニカムシェードを標準装備にしている高気密高断熱のハウスメーカーもあります。

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内窓の取り付けもおすすめです。内窓とは今ある窓の内側に取り付ける樹脂製の窓で、二重窓にすることで冷気を遮ります。防音効果も高いため室内が静かになるメリットもあります。

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今どきは壁を壊さずに窓を交換できるリフォーム用の断熱窓もあります。窓はガラスだけでなく枠の部分の性能も重要です。おすすめは樹脂窓で、最新の高気密・高断熱住宅では主に樹脂窓が使われるようになっています。
窓の断熱性能は熱の伝えやすさである「熱貫流率」で表されます。数字が大きいほど熱を伝えやすく、アルミサッシ+複層ガラスのおおよその熱貫流率は約4.65であるのに対し、樹脂フレーム+トリプルガラス(ダブルLow-E・アルゴンガス入り)なら0.90。断熱性能に大きな差があることが分かります。
数値を聞いただけでは分かりにくいですが、ショールームなどで実際に体感してみると、冷気の伝わり方の差がよく分かります。
下の写真はリフォーム用の樹脂窓です。壁を壊さないで取り付けるカバー工法で設置ができるので、1か所約半日で工事は完了。また玄関や廊下が寒い場合は玄関ドアに原因があることも多いので、そういった場合は同じくカバー工法でリフォームができる断熱玄関ドアを使うといいでしょう。

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窓に加えて天井や壁、床などにも断熱リフォームを行うと更に快適になります。家全体を断熱材で覆うように計画をします。ただし工事方法は家の状況によって異なります。
例えば、壁なら壁内に断熱材を充填する、内側から貼る、外側から貼る方法など様々な手法があり、その際には気流止めと呼ばれる冷気の流れを止めたり、結露を防止するための通気をとったりなどの工事も必要になります。また家の気密性が上がれば換気についてもしっかりとした検討が必要です。
断熱性能の向上リフォームは気密、通気、換気をセットで計画することが肝心です。むやみに行うと効果が出にくいだけでなく、内部結露を呼び家を腐食させてしまうことも。高度な技術を必要としますので、断熱工事に実績のあるリフォーム会社を選び、わが家にあった性能向上リフォームを提案してもらうところから始めるといいでしょう。
断熱リフォームの費用、専用ローンも
断熱リフォームの費用は、まったく断熱がされていない無断熱の家を、最低限必要とされる性能(断熱等級4程度)に引き上げるのに30坪で約300万円~が目安になります。家全体をリフォームするのが大変な場合は、いつも過ごす部屋や寝室だけを部分断熱する方法もあります。
窓の断熱費用は、ハニカムシェードが約1.5万円~、内窓の取り付けが約5万円~、樹脂窓への交換が約15万円~が目安に。窓のリフォームは手頃な価格で費用対効果が大きいのが特徴です。省エネ性能向上リフォームはまずは窓からスタートさせるといいでしょう。

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このように家の断熱性能は、暮らしの快適性や光熱費、健康も左右する大切な性能なのですが、現状では、断熱リフォームで改善するという行動にたどり着いていない人も多いようです。
先述の調査で、寒さを感じている人は8割近いという結果があるにも関わらず、同調査で断熱リフォームについて聞いてみたところ、「検討したことがあるがリフォームはしていない」、または「検討したこともない」人が約9割と、寒さを感じながらも改善には至っていないことが分かりました。
その理由には、冬は寒いものだと諦めている、断熱の効果を実感する機会が無い、費用が掛かり光熱費の差額では元が取れない、断熱の大切さについての知識が不足しているなどが考えられます。
特に効果に関しては、キッチンの入れ替えのように一見して分かるものではなく、実際に住んで体験してみないと分からないため、費用を掛ける決断がしにくい状況があります。
また温度差による健康への悪影響や、結露によるカビの問題なども、断熱性能に左右されていることを知らない人も多いことでしょう。
省エネ化リフォームは国が積極的に推奨しているため、減税や補助金制度が充実しています。また令和4年10月から、住宅金融支援機構による省エネ工事のためのリフォームローンもスタート。融資額は最大500万円で、融資手数料は無料、無担保・無保証で利用ができます。こういった制度を上手に活用すればお得にリフォームをすることが可能です。
この先は省エネ住宅しか建てられない

実は日本の家の省エネ性能は、先進国の中では遅れている状況にあります。日本は地震国なので耐震性能は優れているのですが、省エネ性能は低いのです。
先進国の多くでは、住む人の快適性と健康、そして地球環境のために、家づくりの際には最低室温を定めるなど一定の性能を義務付けています。しかし日本では努力目標はあっても、法律で義務付けられていなかったため、無断熱の家でも建てられる状況にありました。
現在、空き家を除く住宅ストック(既に今建っている住宅のこと)約5,000万戸のうち、9割近く(※3)が現行基準(※4)を満たすことができていません。
※3)国交省「社会資本整備審議会第46回建築分科会」令和4年資料より
※4)ここでの現行基準は、建築物省エネ法のH28省エネ基準の断熱基準をさす(省エネ法のH11省エネ基準及びH25省エネ基準(建築主等の判断基準)の断熱基準と同等の断熱性能)

国交省「住宅リフォームガイドブック」より。図表は編集部で再構成をしています。
こういった状況を改善するため、日本でも2022年に法律を改正。2025年以降に建てられる新築住宅には、一定の省エネ性能を満たすことが義務付けられました。
この先は、省エネな家しか建てられなくなります。脱炭素社会を目指すため、車に排出ガスや燃費の規制があるように、家にも一定の性能が求められる時代がやってきたのです。
その基準は「断熱等級4」と呼ばれるレベルです。等級4をクリアするためには天井や外壁、床に定められた性能を発揮するように断熱材を入れ、窓などの開口部に断熱製品を使用する必要があります。この等級4はこれまで住宅性能表示で最高等級でしたが、現在は更なる上位等級が新設され、今後は最低ラインになります。
今となっては断熱等級4はそれほど高い性能ではありません。高性能住宅は更に上の性能を保持し、今どきの新築住宅ではごく当たり前のレベルです。しかし古い住宅の場合はそれすら多くがクリアできていません。
高性能住宅を新築した人、またリフォームで性能向上をした人たちは口を揃えて「毎日がとても快適になった」、「家にいるのが好きになった」と言います。
断熱性能は目には見えにくいものですが、毎日の暮らしを支える大切な性能です。いくら素敵なインテリアにしても、冬に寒くて光熱費がかさむようでは困ります。光熱費の削減はもちろん、家族のこれからの幸せと健康のために、ぜひわが家の断熱性能を一度見直してみてください。