東西南北、窓の向きや大きさで変わるカーテン・ブラインド選びの正解は?
窓が東・西・南・北のどちらを向いているか、また掃き出しか小窓かなど形状やサイズによっても、適切なカーテンやブラインドの種類が変わります。今回は、快適に便利にそして美しく暮らすための、「窓の方位や形別カーテン・ブラインド選び」のポイントをご紹介しましょう。
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全部同じにすると不便になることも
最適なカーテン・ブラインドは窓の方位や形によって変わります。家中、同じデザインにすれば一見整っては見えますが、快適性が劣ったり、不便になったりすることも。
まずは、なぜ窓にカーテンやブラインドが必要なのか?改めておさらいをしてみましょう。
目的は大きく2つあります。
1、窓の欠点を補って室内を快適に保つ
2、インテリアのとして室内の装飾性を高める
窓は付いている部屋や方位、形によって役割が違い、それぞれに長所と短所があります。つまり窓ごとに必要なカーテン・ブラインドも変わるということ。
例えば、部屋内をロールスクリーンで揃えたいからといって、風通しを良くしたい窓に取り付けてしまえば、せっかくの窓の機能を半減させてしまうことに。ロールスクリーンは風通しが苦手な構造をしているので、通風用の窓には向いていないのです。
カーテン・ブラインド選びの正解にたどり着くためには、まずはそれぞれの窓の目的と特徴を見抜くこと。そしてその窓の機能を最大限に活かしつつ、部屋を美しく装うためのコーディネートを考える必要があります。
東向き窓は遮光&採光、寝室は要注意
東向きの窓には、「遮光&採光のメリハリ」を付けることができるカーテン・ブラインドを選びましょう。
東向きの窓の特徴は、朝日が入りやすいこと。特に夏の朝は、5時前から強烈な日差しが入り込んできます。
東向きの窓のカーテン・ブラインドで多い後悔が、この朝日に関することです。特に寝室の場合、カーテンを閉めても光が漏れて早朝から目覚めてしまう、夏は太陽の日射熱で朝から室温が急上昇、暑くて寝坊ができないといった悩みも。
朝日は西日に比べるとそれほど厳しくないと思われがちですが、実は受ける熱量は同じ。西日と同様にしっかり対策ができるカーテン・ブラインドを選ぶ必要があります。
寝室に東向きの窓がある場合は、光をしっかり遮る効果を持つカーテン・ブラインドを選びましょう。室内の明るさを適切にコントロールできるようになるので、暗い中でぐっすり眠って、朝は明るい日差しの中で気持ちよく目覚めることができるようになります。
光を遮る性能の目安となるのは「遮光性能」です。カーテンやシェード、ロールスクリーンなどの生地にはこの遮光性能を持つものがあり、等級表示がされています。光の通しにくさを1級から3級までに分類、数字が小さいほど室内の暗さを保ちやすくなりますのでチェックしてみましょう。
更に遮光1級は5段階に分類(A++、A+、A、B、C )されます。A++なら生地からほとんど光を感じません。室内をしっかり暗くしたい場合は、最高等級の遮光1級(A++)を選んでおくと安心です。
ブラインドの場合はスラット(羽)が光を通さなくても、スキマや昇降コードの穴からの光漏れが気になることがあります。寝室に付ける場合は、光漏れ対策がされているかを確認して選びましょう。
生地が光を通さなくても取り付け方で光が漏れることもあります。スキマからの光は思うよりも強烈に感じるもの。光漏れがしないよう窓枠全体を覆い、両開きの場合は中央を重ね合わせて掛けることができる交差レールを使うといいでしょう。
レール上部にスキマがある場合はカバートップを取り付け、両脇はリターン仕様と呼ばれる巻き込むスタイルに。下部からの光漏れはそれほど気にならないので、気持ち長めにしておく程度で大丈夫です。
ただし朝になっても、室内は真っ暗であることに注意を。快眠のためには遮光&採光のメリハリが必要です。イマドキは後付けで開閉が電動化できるスマートカーテンもありますので、起きる時間にカーテンが開くようにしておくと、爽やかに目覚めることができます。
西向き窓は徹底遮熱、日差しは入れない
西向きの窓には、「夏の暑さを防ぐ機能」を持つカーテン・ブラインドを選びましょう。
西向きの窓からは、強烈な西日が入り込んできます。朝日と熱量は同じでも、太陽が昇ったばかりの朝とは違い、夕方は気温が上がり切った後。既に暑くなった室内に西日が差し込めば、ますます暑さを感じます。
最近の高性能住宅では室内を快適に保つために、西向きの窓を作らないケースもあるほど。夏は西の窓から「暑さの原因となる日射熱」を入れない工夫をしておくことが、快適に暮らすコツです。
この日射熱を遮ってくれるのが、「遮熱性能」を持つ生地です。更に横スラットのベネシャンブラインドを組み合わせれば、スラットの角度を調整して夏は日差しを遮って涼しく、冬は取り込んで暖かくといったことができるように。
カーテン・ブラインドを上手に選んで組み合わせれば、季節や時間帯に合わせて、室内環境を手軽にコントロールできるようになります。
南向き窓は快適の源、縦スラットが便利
南の窓は快適の源。「日差しのコントロール」がしやすいカーテン・ブラインドを選びましょう。
太陽が低い位置から差し込む冬は部屋の奥まで日差しが届き、日射熱で室内を温めてくれます。もちろん暖房費の節約になります。
逆に夏は太陽が高い位置にあるので室内への差し込みは少なめです。しかしそうはいっても、西向きの窓ほどではないにしろ、夕方になれば傾いた太陽から強い西日が入ってきます。
そこで南向きの窓に付けるカーテン・ブラインドには季節や時間帯で日差しのコントロールがしやすいタイプを選んで、四季を通じて室内を快適に保てるようにしておきましょう。
例えば、縦スラットのバーチカルブラインドなら、スラットを窓に直角に開いておけば、昼間は明るさを保ちつつ、朝と夕には東西から差し込む日差しを遮るといったことができるように。西日だけを遮りたいなら、スラットの面を西に向けておけば室内への差し込みをしっかりと防げるようになります。
北向き窓は徹底断熱+夏の暑さ対策も
北向きの窓は「冷気の侵入を防ぐ機能」に優れたカーテン・ブラインドを選びつつ、夏は日差しを遮る工夫をしておくことも光熱費を節約しつつ快適に暮らすコツです。
北向きの窓は冷気が入り込みやすいことに加えて、夏の朝夕には短時間ですが日差しが当たります。
おすすめは内部に空気層を持つハニカムシェード。断熱性能が高く窓の内側に取り付けておけば冬の冷気をしっかりと遮り、遮光タイプなら日差しも遮ってくれるので夏の暑さを防ぎやすくなります。
掃き出し窓は出入りを重視、小窓は上下開閉
窓の大きさによっても、カーテン・ブラインドの選び方は変わります。
大きな掃き出し窓には上下開閉ではなく左右開閉タイプを選んで。出入りするたびに頭の上まで上げたり、足元まで下げたりといった操作を繰り返すのは手間も時間もかかって大変です。カーテンやバーチカルブラインドなら左右に動かせるので、ストレスなく出入りができます。
小窓はロールスクリーンやブラインド、シェードなどの上下開閉がおすすめ。窓まわりがすっきりと見えるので、複数の窓が並んでいても重くなり過ぎることがありません。小さい窓なら開閉もラクにでき、外からの視線が気になる時や、日差しを半分だけ遮りたい時などに、ちょっと下だけ開けておくといったこともできます。
部屋の中を全て同じデザインのカーテン・ブラインドにする必要はありません。例えば上の写真は、ファブリックもデザインも異なるカーテンとシェードを付けていますがとてもおしゃれ。お互いにリンクしあう色を選び、テイストを揃えるなどの工夫をすれば、一体感のあるコーディネートができます。
風を通すなら「メカもの」は避ける
風を通したい窓は「メカもの」と呼ばれるシェードやスクリーンは避け、カーテンを選びましょう。
メカものとはチェーンや操作棒などで開閉をする窓装飾品のこと。ロールスクリーンやブラインド、シェードなどがそれにあたります。
メカものはフラットでスッキリとしていて調光機能を持つなどメリットが多いのですが、風通しをしたい場合は要注意。風にあおられるとバタンバタンと音を立てやすいので、全開する必要があります。
風に揺れる姿を楽しめるのもカーテンならでは。窓の目的に合わせて上手に使い分けましょう。
採光や目隠しを自在にコントロールする
異なる機能を持つカーテン・ブラインドを組み合わせると、部分的に目隠しをしたり、プライバシーを確保しながら光だけ取り入れたり。窓の機能を格段に向上させることができます。
上の写真は、左右開閉のカーテンと上下開閉のプレーシェードの組み合わせ。開口部を縦長にしたり横長にしたり、開き方の組み合わせで様々な開口バリエーションができ、その時に一番快適な環境をつくることができます。
こちらは今人気上昇中の、ブラインドとロールスクリーンの性能を併せ持ち、レースのカーテンにもなる多機能な「調光ロールスクリーン」です。
調光ロールスクリーンは、上下に開閉+生地の重なりで目隠しや差し込む光の量を調節できるので、1台で複数の機能を発揮してくれます。
カーテン・ブラインド選びでは、東・西・南・北、どの方位を向いているか、掃き出しか小窓か、何のための窓なのかをよく見極めることが大切です。上手に選んで毎日を更に快適に便利に、そして美しくお過ごしくださいね。