地鎮祭までの準備や当時の流れを把握するために、実際に立ち会ってみた
家を建てる前の「地鎮祭」。聞いたことはあるけれど、時間もお金もかかるし本当に必要?やった方がいいのかわからない、というかたも多いと思います。そこで今回、儀式当日の準備や流れを体験しに実際の地鎮祭に立ち会ってきました。
地鎮祭当日の準備
地鎮祭は施主が土地を購入後、工事着工前のタイミングで行う儀式。土地の四隅に青竹を立て、その間をしめ縄で囲って行われます。
地鎮祭当日に使用するテントや椅子、紅白幕、青竹、しめ縄、盛り砂などは施工会社が、祭壇は神主さんが準備をするのが一般的です。
また、施工会社や地域などによっては、施主が準備するものもありますので、事前に確認しておきましょう。
・祭壇の組み立て
今回は敷地から車で7~8分の場所にある神社の神主さんに地鎮祭を依頼していて、祭壇の準備や片付けは神主さんが行っていました。
・盛り砂
祭壇に向かって右側に、小さな円錐状に砂を盛ったものをつくります。
砂は施工会社が用意する場合がほとんどですが、施主が用意しなければいけない場合は「川砂」か「山砂」を用意します。
綺麗な円錐型に整えます。
盛り砂ができ上がったら、稲穂や榊(玉串)を立てます。
地鎮祭の流れ
地鎮祭には施主、神職、施工会社、工事関係者が参加し、午前中に行うのが一般的です。また、カレンダーの「大安」のほか、「友引」や「先勝」の午前中、「先負」の午後に行うのがよいとされています。時間は、約30~40分。長くても1時間ほどで終了します。
儀式の順序や呼び方は地域などによって異なる場合がありますが、一般的な流れをご紹介します。
※今回は祭場に入る前に、手水桶から水をすくって両手を洗い心身を浄める「手水」はなく、代わりにアルコール除菌液が用意されていました。
1.修祓(しゅうばつ)
神職が神前で祓詩(はらいことば)を読み上げてお祓いし、祭壇・土地・参列者を清めます。お祓い中は参列者は頭を下げます。
2.降神之儀(こうしんのぎ)
神様を神饌(しんせん:祭壇のこと)にお迎えします。
3.献饌之儀(けんせんのぎ)
神様にお供え物を差し上げます。
4.祝詞奏上(のりとそうじょう)
神様に工事の安全を願う儀で、神職が祈りの言葉を読み上げます。
5.切麻散米(きりぬささんまい)
6.刈初之儀(かりぞめのぎ)
設計者が鎌で盛り砂の草をつかんで刈る動作を3回行い、草を抜いて下に置きます。
7.穿初之儀(うがちぞめのぎ)
施主が盛り砂に鍬(くわ)を3回入れ、盛り砂を崩します。
8.玉串拝礼(たまぐしはいれい)
神前に玉串を奉り、拝礼をします。玉串は手元で時計まわりにまわし、根元を神前に向けてお供えをし、2礼2拍手1礼を行います。
玉串奉奠(たまぐしほうてん)とも呼びます。
9.撤饌之儀(てっせんのぎ)
お供え物を祭壇から下げます。
10.昇神之儀(しょうしんのぎ)
神籬に下りていた神様にお帰りいただきます。
11.神酒拝載(しんしゅはいたい)
神前にお供えしていた御神酒を土器(かわらけ)の杯やコップなどに注ぎます。神職の合図で、参列者全員で乾杯をし飲み干して、地鎮祭の終了です。※今回は感染予防の観点から乾杯のみでした。
終了後はお供えしていた塩・酒・米を敷地の四方の土の上に撒き、そのほかのお供え物のお下がりは参列者でいただく、または施主が持ち帰ります。
地鎮祭は新しい住まいと暮らしの第一歩
地鎮祭終了後は、ご近所への挨拶まわりをするのが一般的です。挨拶まわりは施工会社のみで対応してくれる場合もありますが、住まい完成後のご近所付きあいをスムーズにスタートできるよう、地鎮祭当日に施主も挨拶まわりを行うのがおすすめです。
地鎮祭は必ずしも行わなければいけない儀式ではありません。ただ、これから家づくりに関わってくれる棟梁や大工さんの労をねぎらう、また相互にコミュニケーションを持つという意味合いもあり、親世代ほど大事な儀式として考えていることも。
地鎮祭には10万円前後の費用もかかりますし、儀式の準備や参加のために時間もかかります。「できれば省略したい」と考える方もいるかと思いますが、家づくりの第一歩となる伝統的な儀式ですので、ご家族やハウスメーカー、工務店とよく相談して決めていきましょう。